デザイナーの視点から開発にまつわる窯の探訪記と一緒にうつわをお届けします。

『旅するうつわ』とは

ケユカの食器はブランドが始まってから変わらず、産地に足を運び、産地の方のお話を大切に聞いて、ものづくりを進めてきました。

『旅するうつわ』とは、ケユカが全国各地の産地・窯元を訪ねて、その土地でしか出会えない魅力を持ったうつわたちをみなさんへお届けしたいという思いをもとに始まりました。

昨年は季節の料理に合ったうつわを各産地からお届けしましたが、2024年はテーマ新たに、窯元への旅気分を味わっていただこうと、デザイナーの視点から開発にまつわる窯の探訪記と一緒にうつわをお届けします。

第1回 旅の目的地は栃木県益子町

-益子焼最大の窯元「つかもと窯」-

現地に着いて驚いたのは、工場の大きさ!益子最大といっても過言ではない、大きな工場とショールームのある窯元です。つかもと窯さんの創業はなんと150年、敷地内に地元の作家さんのギャラリーや、美術記念館もあるそうです。

つかもと窯で作った、KEYUCAの新作うつわ
Plainシリーズ

ショールームにお邪魔させていただき、たくさんのうつわの中からびびっときた形状。シンプルでとっても使いやすそうな形だけど、益子焼らしい厚みがとても良い!と思いました。
益子焼定番釉薬の中から、形に合う釉薬をいくつか選び、飾り線などもその場で打ち合わせ。試作を経て、端正な形状に、艶のある釉薬が映えるPlainシリーズが出来上がりました。

つかもと窯のしごと

Plainシリーズを作っている「つかもと窯」の様子を、ご紹介します。

たくさんつくる。

つかもと窯さんの広い敷地・工場のわけは、あの有名な駅弁に使われている、釜めしの『釜』の生産。1年中つくっているそうです。益子焼の産地で、全自動の機械生産をしている窯元は初めて見ました。

敷地内の坂を上った先にある、
もうひとつの工房。

大量に生産している商品がある一方で、少し離れた工房で型を使った半自動の成形機での生産も行っています。機械を操作する方の感覚あってこそ、端正なかたちを効率的につくることができます。Plainシリーズはこちらの工房で作ってもらいました。

ひとつしかないものをつくる。

工房では施釉工程を見学しました。つかもと窯さんでは、アイテムによって、手作業で施釉を行っているそうです。
丁寧かつ大胆な作業を見学して、わたしたちが思いついたのが、Plainシリーズの特徴である飾り線です。
プレートの中心にそっと掛けた釉薬が重みによって力強い線を描き、窯変によって個体差ある表情に仕上がります。簡単そうに見えて、職人さんの技がひかる加工です。

古いも新しいも。
歴史が詰まっている。

益子はかつて鬼怒川の水運を生かし、東京へ鉢や水瓶を出荷することで栄えた産地です。創業150年であるつかもと窯敷地内には140年前に作られた登り窯が残されていて、見学することができます。背をかがめて登り窯の中に入ると、しっとり冷たい内壁が部分的に黒く光っていることに気付きました。当時燃料として使われた杉や松の灰が舞い、炎で溶け釉薬のように焼き付いた跡だそうです。当時の職人が確かにここで器を焼いていたことを感じると共に、当時の器に思いを馳せました。

シンプルにも、レトロにも映える
Plainシリーズ

こうした歴史と技術がつまったつかもと窯さんと出会ったことでうまれた、Plainシリーズ。
縁まで厚みがあってレストランのうつわみたいだから、重ねてドンッとテーブルに出したらホームパーティで映えるな、とか艶々の釉薬みたいなカラメルがかかったプリンをお皿の真ん中に盛り付けたいな…など、他にあれもこれも合うかも!と、想像が膨らみます。

デザイナーの訪問後記

毎年楽しみにしている益子陶器市では、個人作家の方も、歴史ある窯元も出店されていて、見きれないほどのうつわに出会います。「旅するうつわ」探訪記Vol.1で訪れたつかもと窯さんは、益子焼の発展と共に歩んできた歴史ある窯元であり、素朴で魅力あるうつわを作るお仕事に出会うことが出来ました。今後も、KEYUCAを通して食器やつくる人たちの魅力に出会っていただけるよう、産地を訪問して紹介していきます。

次回の旅先は…

次の旅は山口県萩市、萩焼から初夏のうつわをお届け予定です。ぜひ、楽しみにお待ちいただければと思います。