デザイナーの視点から開発にまつわる窯の探訪記と一緒にうつわをお届けします。

デザイナーの視点から開発にまつわる窯の探訪記と一緒にうつわをお届けします。

『旅するうつわ』とは

ケユカの食器はブランドが始まってから変わらず、産地に足を運び、産地の方のお話を大切に聞いて、ものづくりを進めてきました。

『旅するうつわ』とは、ケユカが全国各地の産地・窯元を訪ねて、その土地でしか出会えない魅力を持ったうつわたちをみなさんへお届けしたいという思いをもとに始まりました。

昨年は季節の料理に合ったうつわを各産地からお届けしましたが、2024年はテーマ新たに、窯元への旅気分を味わっていただこうと、デザイナーの視点から開発にまつわる窯の探訪記と一緒にうつわをお届けします。

第3回 旅の目的地は滋賀県甲賀市信楽町

土を活かして機能的なものづくり、庄左ェ門窯しょうざえもんがま

信楽町では陶磁器に向く土が採掘でき、土の個性を活かした機能的なものづくりがされてきました。今回訪問した庄左ェ門窯(株式会社 松庄)さんは、松鉢の製造から事業を始め、土鍋やおひつ、食器を作っている窯元です。

庄左ェ門窯で作った、KEYUCAの新作うつわ
「信楽の土シリーズ」

信楽の土で作られた、0.8合サイズのおひつとお茶碗です。土鍋のようなマット仕上げブラック、ナチュラルモダンなマットベージュ、そして信楽焼の伝統色 緋色を控えめにあしらったレッドの3色を用意しました。(※おひつのレッドのみ店頭限定商品です。)

温め直したご飯がもちもち、
ご飯を調湿するおひつ

「信楽の土おひつ」に使用する土は内部や表面に小さな孔を無数に作る性質があり、この孔の働きによっておひつに入れたご飯の水分が適度に保たれ、もちもちした食感をキープすることができます。温め直したときにうつわの内側につく水滴も少なく、気持ちよく食べられるのも嬉しいポイントです。

おひつと一緒に並べたい、
土肌が魅力のお茶碗

外側は素朴な土肌を感じるお茶碗ですが、内側は透明ツヤ釉薬で光沢のある仕上げです。内側がつるつるなのは洗いやすくするためのひと工夫でもあります。庄左ェ門窯さんはコンプレッサーを使用して片面ずつ釉薬をかけるので、内面と外面のそれぞれに合う釉薬で仕上げました。

ケユカスタッフが
おひつを使ってみました

様々なライフスタイルのケユカスタッフにおひつを使ってもらいました。ひとくちに「ご飯」と言っても、ご飯の炊き方や好きな食べ方はさまざま。それぞれの暮らしに合った「ここが刺さった!」ポイントを紹介します。

おひつで保存したご飯は、炊き立てご飯とも違う美味しさだなと感じます。ご飯はまとめて炊く派なので、炊いた翌日の朝食はおひつご飯にして、一度の炊飯で2度おいしく食べられるルーティンにしようと思います。

30代女性
ご飯はまとめて
炊く派

普段は土鍋で炊飯しています。土鍋で炊いたご飯をおひつで保存すると、締まった食感になってサラッと食べやすいです。納豆好きな自分としては、納豆ご飯と相性抜群だと思います。

40代女性
土鍋で炊く派

30代男性

家族の人数分、毎日ご飯を炊いています。半端に余るご飯をおひつで保管したら、翌日食べても美味しくて驚いた。味噌パックと同じくらいのサイズなので、冷蔵庫のちょっとした隙間に差し込んで収納できるのも便利です。

30代女性
ご飯はまとめて
炊く派

2合サイズの陶器のおひつを持っていて、そこからお茶碗によそって温めていましたが、陶器のおひつの良さはフタにあったんですね!1食分をおひつごと電子レンジで温め直したら、お米のふっくら感が全然違いました。何より小さくてかわいいです。

冷凍ご飯と比べてもちもち感、米の水分量、香りが違いました。おひつに入れて30分置いたご飯と1日経ったものを比べてみましたが、遜色なかったと思います。週末のきちんとご飯dayに手間をかけて是非使いたいと思いました。

50代女性
普段は冷凍
ご飯派

庄左ェ門窯のしごと

信楽の土を知り尽くした製造風景

「信楽の土 おひつ」が作られる現場を見学して体感した、土の特徴を活かす工夫を紹介します。食器に比べて大きいおひつを作る庄左ェ門窯は、成型機やヘラなどすべてが大きくパワフルで、迫力を感じる現場でした。
例えば、「削り」を入れる工程は土の特徴がよく出る工程の一つです。
成形型から外した直後の表面はつるりと整っていますが、専用の道具で薄く削り取ることで細かいポコポコした孔が表面に現れます。これは、土に細かい石が無数に含まれているためです。この細かい孔は信楽の土鍋やおひつのトレードマークであり、内側に空気をたくさん抱え込んでいる=蓄熱性が高い証でもあります。
反対に、この特性には生産を難しくする一面も。
信楽の土は水分を吸いやすい分、乾燥ムラによる反りが発生しやすい特徴があります。そのため、乾燥工程では乾燥棚の中で、置く位置を定期的に変えるなど全体が均一に乾くよう気を遣います。特に、おひつのふたは薄いため反りやすく、乾燥専用型に入れ時間をかけて乾かすことでフラットな形をキープします。
そうして出来上がった形状を素焼きにし、施釉を行います。コンプレッサーで霧状の釉薬を薄く吹き付けるため、土の肌理を残すことができます。庄左ェ門窯ではこの施釉方法によって、かつて産地で使用されていた登り窯で焼いたうつわのような風合いを表現しています。

デザイナーの訪問後記

「信楽の土おひつ・茶碗」のものづくりを通して、美味しくお米を食べるコツをたくさん知りました。私は白いご飯が大好きで、美味しい銘柄や新米が食卓に上る日はおかずも美味しく感じるし、その日1日張り切る原動力になります。平日は出来るだけ楽したいのが本音ですが、おひつをフル活用して、ちょっと美味しく・ちょっと気持ちいい食事を楽しみたいと思います。
信楽の土シリーズは機能も見た目も、素朴な土の持ち味を活かしたアイテムたちです。食器兼、頼りになる道具として使っていただければと思います。

次回の旅先は…

次の旅は石川県加賀市、九谷焼から秋冬の食卓に華を添えるうつわをお届け予定です。ぜひ、楽しみにお待ちいただければと思います。